この記事は公表資料を基にした一般的な情報整理で、個別の法的助言や法令対応の保証ではありません。実際の体制整備は、自社の業務とリスクに応じて専門家や関係機関にも確認してください。

先に結論:AI導入だけでは対策は完了しない

厚生労働省は、2026年10月1日から事業主にカスタマーハラスメント防止措置を講じることが義務づけられると案内しています。指針で求められるのは、製品の導入そのものではなく、方針の周知、相談体制、発生後の対応、特に悪質な事案の抑止策、相談者のプライバシー保護などを含む社内運用です。

また、顧客からの苦情や要求がすべてカスハラになるわけではありません。厚生労働省の指針でも、正当なクレームはカスタマーハラスメントに該当しないとされています。要求内容と、その手段・態様を分け、客観的な事実を確認する運用が重要です。

対策を考える際は、正当な消費者の権利や、障害を理由とする不当な差別の禁止・合理的配慮にも留意が必要です。

事業主が確認したい5項目

確認項目最低限決めること記録・AIが支援できる範囲
1.方針と判断基準許容しない行為、責任者、対応終了や引き継ぎの条件事例整理、マニュアル検索、文案作成
2.相談体制相談窓口、報告先、曖昧な段階でも相談できる流れ受付内容の整理、関係者への共有
3.発生後の対応事実確認、担当者保護、顧客への対応、再発防止録音・文字起こし、時系列整理、対応履歴
4.特に悪質な事案の抑止対処方針を事前に定め、周知し、実行できる体制事案の記録・共有(判断と実行は人が担当)
5.プライバシーと不利益取扱い防止情報の閲覧範囲、保存期間、相談を理由とした不利益の禁止権限設定やログ保存(製品仕様の確認が必要)

1.会社としての方針と判断基準を明確にする

まず、カスハラを許容しない方針を示し、従業員に周知します。現場が迷わないよう、暴言、脅迫、長時間の拘束、過剰な要求などの例と、責任者へ引き継ぐ条件を業務に合わせて決めます。ただし、語句だけで機械的に判定せず、要求内容、経緯、手段、頻度などを総合して確認できる形にします。

2.曖昧な段階でも相談できる窓口を用意する

相談窓口と担当者を定め、カスハラかどうか判断できない段階でも相談を受けられるようにします。EC・通販では、受信メール、注文情報、発送記録、過去の応対履歴を誰が確認し、誰が最終判断するかを決めておくと、担当者一人に判断が集中しにくくなります。

3.発生後は迅速に事実を確認し、従業員を守る

相談を受けたら、当事者だけでなく、録音、メール、チャット、注文・配送記録などの客観的な資料も確認します。危険や強い心理的負担がある場合は、担当者交代や業務から離す対応も検討します。対応後は、判断と実施内容を記録し、同じ状況が起きたときの手順へ反映します。

クレーム対応の記録を「申告・事実・未確認」に分ける方法 →

理不尽なクレーム・カスハラメールへの返信手順と文例 →

4.特に悪質な事案への対処方針と体制を用意する

厚生労働省の指針は、特に悪質と考えられるカスタマーハラスメントへの対処方針をあらかじめ定め、従業員に周知し、実際に対処できる体制を整えることを求めています。現場から責任者への報告先、担当者を一人にしない方法、必要に応じた警察への通報や本部への共有を、事前に決めておきます。AIの検知結果だけで悪質性を確定しない運用にします。

5.相談者の情報を守り、不利益な扱いをしない

相談内容や個人情報の取扱い、閲覧できる担当者、保存期間を定めます。録音・文字起こし・生成AIへ情報を入力する場合は、各サービスの保存先、学習利用、削除方法、アクセス権限を確認します。相談したことを理由に不利益な扱いをしないことも、社内方針として周知します。

EC・通販で最初に作る実務フロー

  1. 問い合わせ本文と注文番号を保存し、担当者が主張と確認事項を分ける
  2. 注文・決済・発送・返品規約など、社内で確認できる事実を追記する
  3. 脅迫、危険、繰り返し、長時間拘束などがあれば責任者へ引き継ぐ
  4. 返信案は担当者または責任者が確認してから送信する
  5. 判断理由と対応結果を残し、相談窓口と再発防止へ共有する

この流れでは、AIは情報整理、時系列化、返信案の作成を支援できます。一方、カスハラ該当性の最終判断、対応終了、警察・弁護士への相談などは、責任者と人が確認する運用が必要です。

EtoLogic Skyで支援できる部分

EtoLogic Skyは、相談内容から相手の主張、確認済みの事実、未確認事項、時系列を整理し、担当者が確認できる対応文案の作成を支援します。自動送信は行わず、最終確認は利用者が行います。無料で実案件を整理して、社内フローに合うか確認できます。

https://etologic-sky.vercel.app/

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